今回は常に言われ続けているセオリー。【ゴールドは希少価値からレートが上昇し続ける】という迷信?に切り込んでいこうと思います。
では、早速見ていきましょう!

このセオリーは抑えておくべき前提条件があるから、信じるならその前提条件をよく確認しておこう!

これまでのゴールドはずっと上がってきたから、これからも上昇するんじゃないの!?
ゴールド

上に表示しているのは、2025年4月下旬のゴールドの日足チャートです。
現在は、3354ドル付近。きれいに右肩上がりになっています。
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少しおさらいとして、波形について文字だけで見ていくと…
・チャート左側(なんとなくで左側)は波形が見えていながら、上昇しているのでロング可能。場合によっては短期でショートも可能。
・チャート右側は波形が明らかに少なくなり、テーマトレンドが発生している可能性がある。ロングかスルー推奨。
というような相場でした。(いずれまた波形解説するかも)
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なぜゴールドはこれほどまでにきれいに右肩上がりになっているのか。
それを紐解く前にまずは株価(日経平均やS&P500)が右肩上がりになる理由から考えていきましょう。
株価が上がり続ける理由…それは
・株価は世界経済と連動しているから。(GDPと連動しているから)
少し無理やりな気もするけど、まあこんな感じ。
…本当にそうなの?
なぜ人々は株を買うのだろうか。
だって、トルコリラやメキシコペソを買えば、毎年金利が付くのに。
ゴールドもそれと同じ。
どうして高い金利が付く上記の通貨(もっと言うと比較的安全なドル)よりも金利が全くつかないゴールドを投資家たちは買うのだろうか。
インフレと金利

言われてみると確かに…
金って結局光ってるだけでしょ?

実際、消費者である我々には実質的に価値はそんなにないよね。
確かに、金はキラキラ光るから眺めて楽しい…
でもそれだけ。
金利が付く【通貨】を持っていたほうがいいような気がする。
だけど忘れちゃいけないのは、インフレの存在
物の価値は上がり続けるということ。そうなれば当然通貨の価値は下落する。
今の日本円の金利は大体1.3%くらい。
日本の物価が毎年3%上昇していくとするならば差し引きで1.7%資産が目減りしていくことになる。
これが通貨の怖いところ。
数十億から数百億持っている世界の投資家たちにとっては、1%という小さな割合であっても、大きな金額になってくる。
世界経済が発展し続ければ基本的にモノの値段は上がり続ける。つまりインフレは止められない。
だから【通貨】か【ゴールド】かで迷うような場面であれば、【ゴールド】が選ばれやすいのかもしれない。
大富豪の気持ちはわからないけど。

通貨はインフレで価値が目減りしていくし、金利が高い状態もどれだけ続くかわからない!
だけどゴールドは【モノ】だからインフレの波に乗って価格が上昇していく!
だからゴールドは右肩上がりになるんだ!
と、ここまではネットでも出回っている当たり前の知識。
これ、鵜のみにするのは危険です。
プラチナという存在

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成
実は昔はゴールドよりもプラチナのほうが高かった時期がある。
これはプラチナに車の排気ガス浄化触媒としての利用価値が高かったことから、値段が下支えされていました。
ただ、リーマンショックや排気ガス規制によってプラチナの買い手がつかなくなったことで価格は大暴落。現在はゴールドの半分以下のレートにまで落ち込んでいます。
プラチナは白金といわれ、金と同じくらいキラキラ光ります。
ゴールドも同じ道を辿らないといえるでしょうか?
ゴールドのレートが高いのは工業的な利用価値(一部ジュエリーとしての価値)があるからです。(プラチナも同じでした。)
しかし、技術の進歩とともに金の代替物を人工的に生み出せるようになったらどうでしょうか。
(すでにダイヤモンドは人工的に作り出せるようになり、価格が大暴落してる)
買い手が付かなくなります。
それで終わりです。
ゴールドのレートが上昇し続ける理由
・インフレによるモノの価値の上昇
・工業的価値による価格の下支え
ここまで話してきて、じゃあゴールドはいつか大暴落するの?と思うかもしれないけど、今のところはその予兆はないかなとも思う。
でも今日解説したゴールドのレートが上昇する前提、みたいなところは抑えておいたほうがいいかなと思う。